代表的な皮膚がんの説明。このような症状に注意しましょう。
あおよこ皮膚科クリニック
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皮膚の悪性腫瘍(皮膚がん)
皮膚にも、他の臓器と同様に悪性腫瘍(いわゆる”がん”)が発生します。
皮膚の悪性腫瘍(以下、皮膚がん)の特徴は、症状が目に見えるため早期に発見が可能なことです。早期発見し、早期に治療を開始すれば手術などで完治する可能性は高いのです。しかし実際には腫瘍が大きく成長するまで医療機関を受診せず、受診された時すでに病気が進行した状態になっている方も少なくありません。
そのような事の無いよう、皆さんには皮膚におかしな出来物ができた時には、面倒がらずに皮膚科専門医の診断をお受け頂きたいのです。

このページでは代表的な皮膚がんがどのような病気と間違われやすいのか、どのような場合に癌の疑いがあるのか、診断のためにどのような検査が必要なのかなど、簡単にまとめました。
 
皮膚がんは早期に発見できる病気
皮膚がんと言っても、はじまりはたった一つのがん細胞です。このがん細胞が分裂・増殖を繰り返した結果、目に見える皮膚がんとなり、さらに増殖を繰り返すことで腫瘍の中に血管やリンパ管を巻き込むようになり、やがてがん細胞は血流やリンパの流れに乗って内臓へと転移していくのです。
皮膚がんと言うと、何だかすごく大きなできものや、痛みのあるものを想像される方もありますが、初期にはほんの小さなできもので、痛みもありません。一見すると普通のほくろや、湿疹、いぼと区別の付かないものもあるのです。それを皮膚がんと気づかないで放置してしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。
しかし、皮膚がんは、内臓がんと異なり初期の状態でも目に見える病気です。皮膚がんには他の病気に見られない特徴がいくつかありますので、経験豊富な皮膚科医が診察すれば早期に発見できる可能性は高くなります。皮膚に何か心配なできものができた時、特にこのページに示す皮膚がんを疑う特徴がある場合には、一度皮膚科専門医の診断を受けた方が良いでしょう。
 
ほくろと間違われやすい皮膚がん
色が黒く、一見ほくろに見えてしまう皮膚がんがあります。その代表例は悪性黒色腫(メラノーマ)と基底細胞がんです。
【悪性黒色腫(メラノーマ)】
いわゆる「ほくろのがん」のことです。皮膚の悪性腫瘍の中でも特に悪性度が高く、進行すると内蔵転移を生じて手遅れになってしまうことがあります。このような病気はできるだけ早期に発見して、手術によって完全に摘出する必要があります。

日本人の場合、手足などの末端部分に生じることが多いので、手の平や足の裏、手の指、足の指(爪を含む)などにできたほくろには注意が必要です。手足にできたほくろがすべて癌というわけではありませんが、大きなほくろや、急にできたほくろの場合には、一度皮膚科専門医の診断を受けましょう。

その他の部位のほくろでも、急に大きくなってきて、次のような特徴がある場合には悪性黒色腫の疑いがあります。
  • 形が歪(左右不対称)
  • 周囲との境界がぼやけていてはっきりしない
  • 多彩な色が混在する(黒を基調としていても、青、白、灰色、茶色などを混じる)
  • 大きさが6mmを超える
  • 表面が隆起している
心配なほくろがある場合には、皮膚科専門医を受診して下さい。多くの場合にはメスで切らなくてもダーモスコピー検査で診断できます。
爪の悪性黒色腫
≪爪の根元に生じた悪性黒色腫≫
爪は黒く変色しています。さらにデコボコと変形し、一部は崩れ落ちています。
良性のほくろでも爪が黒くなることはありますが、この写真のように爪の先の皮膚まで黒くなることはありません。
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【基底細胞がん】
高齢者に多い、皮膚悪性腫瘍(皮膚癌)の一種です。黒い色(まれに肌色)をしているので初期にはホクロと間違われることがありますが、放置すると大きくなり、中央部がくずれてきます。内臓に転移することは稀ですが、皮下脂肪の少ない顔面などに生じると深く進行し骨をくずしてしまう事もあります。手術によって、取り残しが無いよう完全に切除する必要があります。
ほくろの中央がくずれて凹んできた場合には基底細胞がんの疑いがあります。皮膚科専門医の診断を受けましょう。
顔面の基底細胞がん(1)
≪頬部の基底細胞がん≫
直径3mm程度の初期の基底細胞がんです。
普通のほくろと異なり、中央が凹んでいます。
顔面の基底細胞がん(2)
≪もみあげ部分の基底細胞がん≫
大きさが1cmを超えて、少し進行した基底細胞がんです。
中央の部分がくずれています。
お尻の基底細胞がん
≪臀部の基底細胞がん≫
大きさが1cmを超える基底細胞がんです。
中央が凹んではいませんが、普通のほくろと異なり、表面にロウを塗ったような光沢があります。
蝋様光沢といい、基底細胞がんの特徴の一つです。
顔面の基底細胞がん(3)
≪頬部の基底細胞がん≫
一見普通のほくろと区別しにくいのですが、よく見ると表面に拡張した毛細血管が確認できます。
腫瘍の表面に拡張した毛細血管を認めるのも基底細胞がんの特徴です。
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湿疹と間違われやすい皮膚がん
赤い色をしていて、一見湿疹に見えてしまう皮膚がんがあります。その代表例はボーエン病とページェット病です。
【ボーエン病】
初期の皮膚がんで、がん細胞は基底膜(表皮と真皮を分けている膜)を超えずに表皮内に限局した状態にあります。後述する有棘細胞がんが表皮内に留まっている状態と考えられます。
がん細胞が表皮内に留まっているうちに、手術によって病気を完全に除去できれば、完治します。しかし治療開始が遅れると、がん細胞が真皮に入り込み、血管やリンパ管を伝って内臓へ転移てしまいます。
湿疹のように赤くなっていても、次のような症状の場合にはボーエン病を疑い、皮膚科専門医の診断を受けましょう。
  • かゆくない
  • 湿疹用の塗り薬が効かない
  • 数ヶ月以上消えない。
  • 徐々に大きくなっている。

ボーエン病(1)
≪腹部のボーエン病≫
数年前から直径1cm程度の赤みに気が付いていたそうですが、放置されていました。
平坦だったものが徐々に盛り上がり、面積も広がってきたそうです。
ボーエン病(2)
≪手のボーエン病≫
「手の湿疹に薬を塗っていたのに治らない」という訴えでした。
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【ページェット病】
乳がんの一種である乳房ページェット病と、陰部や肛門周囲、わきの下などにできる乳房外ページェット病とがあります。

  • 乳房ページェット病
    乳房ページェット病は、中年以降の女性に発症し、乳首の周囲に湿疹に似た赤みやただれ、ジクジクを生じます。かゆみが無く、湿疹に効果的なステロイド外用薬がまったく効かないことが特徴です。このような症状が長く続く場合には乳房ページェット病が疑われます。
  • 乳房外ページェット病
    高齢者に多い皮膚がんです。初期にはがん細胞が表皮内に留まり(表皮内がん)転移しませんが、発見が遅れるとがん細胞が真皮まで増殖しリンパの流れに乗って転移します。
    場所はアポクリン汗腺の存在する部位(外陰部、肛門周囲、わきの下、へその周り)、特に外陰部に多く発生します。このような場所に、赤みやただれ、ジクジクを生じ、しかも痒くなることが多いので湿疹と区別しにくい症状です。恥ずかしい場所なので、なかなか診察を受けることができず、発見が遅れてしまう場合もあります。このような場所に治りにくい湿疹ができた場合には、恥ずかしがらないで皮膚科専門医を受診しましょう。
    湿疹と異なる点は、ステロイド外用薬が効かないこと、数ヶ月以上症状が続くこと、徐々に大きくなること、赤くなった部分の周りに色素沈着(シミのような色)や脱色素斑(白くなった部分)を伴うことなどです。

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シミと間違われやすい皮膚がん
平べったく肌の色の変化が主体のため、シミと間違われやすい皮膚がんがあります。その代表例は悪性黒子(あくせいこくし)と日光角化症です。
【悪性黒子(あくせいこくし)】
高齢者の顔面に見られる皮膚がんで、悪性黒色腫(メラノーマ)の一つの病型です。かなり進行するまで盛り上がらず、皮膚が褐色~黒色に変色したシミのような症状を呈します。初期の小さな発疹はほくろと区別が付きにくく、ゆっくりと成長するために大きくなっても普通のシミだと思って放置されてしまうことがあります。
進行してがん細胞が真皮内に増殖するようになると内臓に転移し、急激に全身状態が悪化しますが、この病気には発症から数年~数十年の間、がん細胞が表皮の中だけで増殖する時期があります。この時期の間に病気を発見し、手術によって完全に除去できれば完治が望めるのです。
次のような特徴のあるほくろ又はシミのようなものを発見した場合には皮膚科専門医の診断を受けましょう。
  • 高齢者の顔面や手の甲など紫外線を浴びる場所にできている
  • 形が歪(左右不対称)
  • 周囲との境界がぼやけていてはっきりしない
  • 色の濃淡が目立つ
  • 大きさが6mmを超える

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【日光角化症】
初期の皮膚がんで、がん細胞は基底膜(表皮と真皮を分けている膜)を超えずに表皮内に限局した状態にあります。ボーエン病と同様に、後述する有棘細胞がんが表皮内に留まっている状態と考えられます。この状態で転移を起こすことはありませんが、放置すると一部のものは有棘細胞がんに進行して行きます。
紫外線のダメージにより発生しますので、高齢者の顔面や手の甲など紫外線を浴びやすい場所に見られます。高齢者では老化によるシミと日光角化症が混在して見られることが多いので、この病気を見落とさない注意が必要です。
次のような症状に注意しましょう。
  • 高齢者の顔面や手の甲など紫外線を浴びる場所にできている
  • 普通のシミよりも赤みが強い
  • 表面がカサカサと乾燥した状態
  • 触ると少し硬い感触がしたり、シミの表面が盛り上がっている
  • 一部がくずれてジクジクしてきた時は要注意!(有棘細胞がんに進行している可能性)

日光角化症
≪シミに混在する日光角化症≫
皮膚の老化や紫外線のダメージにより生じるシミ(老人性色素斑)に、やや赤みがあり表面がカサカサとした日光角化症が混在します。
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いぼと間違われやすい皮膚がん
皮膚から盛り上がったしこりになるため、いぼと間違われることのある皮膚がんがあります。その代表例は有棘(ゆうきょく)細胞がんです。
【有棘(ゆうきょく)細胞がん】
人体の一番外側に存在する表皮細胞のがんです。皮膚から盛り上がったしこりになるので、初期にはいぼと間違われることがあります。高齢者の顔面や手の甲など紫外線を浴びやすい場所に見られますが、その他にも過去に火傷をした場所や、放射線を浴びた場所、おできを繰り返している場所などにできる場合があります。また、前述のボーエン病や日光角化症を放置していると有棘細胞がんに進行することがあります。表面が脆く崩れやすいので、擦れたりするとすぐ傷になり表面がジクジクしたりかさぶたの状態になります。さらに、その部分に細菌感染を生じて悪臭を放つようになります。
次のような症状に注意しましょう。
  • 高齢者の顔面や手の甲など紫外線を浴びる場所にできている
  • 火傷の痕や、おできを繰り返している場所にできたいぼ
  • 表面がジクジクしたり、かさぶたになっている
  • 悪臭がある

有棘細胞がん(1)
≪額にできた有棘細胞がん≫
「おでこのいぼが大きくなった」という訴えでした。しこりの中央部が崩れてジクジクしています。
おでこの前側にあるものは脂漏性角化症(=老人性疣贅:老化によるいぼ)です。
有棘細胞がん(2)
≪日光角化症から発生した有棘細胞がん≫
左の額から頬部にかけて日光角化症が多発していますが、その一部が崩れてキズになってしまいました。
皮膚生検の結果、この部分は有棘細胞がんに進行していることが分かりました。
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皮膚がんの検査
皮膚がんの検査には、病気の診断に必要な検査と、病気の広がりや転移の有無を見るための検査があります。ここでは初期の皮膚がんを診断するために必要な、代表的な二つの検査について簡単に説明します。
【ダーモスコピー】
ダーモスコピーとは、強力な光源を有するルーペの一種で、反射ありと反射なしを切り替えることによって、皮膚の表面~真皮の浅い部分までの性状観察を行うことができる検査機器です。あらゆる皮膚疾患の診断に役立ちますが、特にシミ・ほくろと黒い色の皮膚がん(悪性黒色腫基底細胞がん)との鑑別において強力な助けとなります。

≪足の裏のほくろ≫
規則的な線状の色素沈着で、良性のほくろに見られるパターンです。
ほくろダーモスコピー(1)
≪背中のほくろ≫
規則的な網目状の色素沈着で、形も左右対称です。これも良性のほくろのパターンです。
ほくろダーモスコピー(2)
 
【皮膚生検】
皮膚腫瘍の診断には欠かせない検査です。腫瘍の一部または全部を採取し、そこから薄い組織切片を作成します。その切片をいろいろな薬品で染色して顕微鏡検査を行い、組織の構造や腫瘍細胞の特徴から病気の診断を行います。
皮膚生検には腫瘍の一部を(直径数mmの円形のメスでくり抜いて、あるいはメスで紡錐形に切り取って)採取する方法と、治療も兼ねて腫瘍全体を採取する方法とがあります。
≪正常な表皮≫
表皮細胞は規則的に配列し、基底層(表皮の底面)から角質層(表皮の最外層)まで徐々に表皮細胞の形態が変化する、正常な分化を示しています。
正常皮膚の病理組織
≪皮膚がん(ボーエン病)≫
がん細胞は無秩序な配列で、細胞の大きさも不均一、細胞分裂像がたくさん見られます。
ボーエン病の病理組織
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皮膚がんの治療
まだ転移を生じていない初期の皮膚がんであれば、手術により完全に摘出すれば完治が期待できます。したがって、初期の皮膚がんに対してまず検討すべき治療法は手術です。
しかし、皮膚がんの種類や大きさ、できている場所、転移の可能性、患者さんの年齢・体調などを考慮した結果、手術以外の方法を選ぶ場合もあります。手術以外の方法としては、レーザー治療や、液体窒素冷凍凝固法、光力学的療法(PDT)、放射線療法、化学療法、生物学的療法(治験段階)などがあり、これらを単独または併用して行います。
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このページで取り上げた病気や検査、治療法は皮膚がん関連のごく一部です。
できるだけ一般の方が理解しやすい言葉を優先しましたので、医学的には正確でない表現も含まれます。


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